
尺八のために作られ尺八だけで演奏するジャンルの曲「尺八本曲」を愛好する「本曲を楽しもう会」が9月6日、栃木県総合文化センター(宇都宮市本町)古典芸能練習室で発表演奏会を開く。
同会は「難しい、敷居が高いと思われがちの本曲に楽しみながら触れていく」ことを目的に活動しており、尺八の本曲勉強会を、栃木県三曲協会会長山本藍童師範指導の下、毎月、県内尺八演奏者を対象に行い、年2回、日頃の修練の成果を発表する会を開いている。
出演する宮友童さんは「確かな音を意識し、吹き方も、笹笛の音のように最初は弱く、途中で大きくし、最後はフェードアウトして消えていくように思い描きながら吹くのだが、実際にはなかなか難しい。『間』も大切で、『間』がきちんと取れていないと、聴く人がゆったりとした気持ちになれない」と尺八の難しさを話す。
プログラムは2部構成で、「虚空鈴慕(こくうれいぼ)」「秋田菅垣(あきたすががき)」「吉野鈴慕(よしやれいぼ)」など、本曲の代表的な楽曲をはじめ計10曲を演奏する。
曲目の一つ「虚空鈴慕」は、虚竹禅師が霊夢を見、そこから得た音から作られたといわれる曲。「秋田菅垣」は秋田の風袋寺に伝わる曲で、秋田の土臭さを感じさせる前半の低音の旋律と、華やかで繊細な音の移行を伴う高音の後半の旋律が特徴とされる。「吉野鈴慕」は吉野山の花を連想させる明るさを備え、他の重厚な本曲とは一線を画す。
宮さんは「尺八は、時の流れを静かに映し出すような響きを持っている。虚無僧の奏でた尺八の素朴な音色を、心ゆくまで味わっていただければ」と話す。
14時開演。入場無料。