栃木県立美術館(宇都宮市桜4)で10月25日、「宮城県美術館コレクション 絵本のひみつ展」が始まった。
宮城県美術館は1998(平成10)年から、月刊絵本「こどものとも」(福音館書店)の初期原画を収蔵。公立美術館としては早くから、絵本原画を「美術品」として収集してきた。今回は、同館のコレクションの中から「ぐりとぐらのえんそく」をはじめ約180点の原画を展示する。
「こどものとも」は1956(昭和31)年に創刊。戦後の新しい時代の子どもたちに上質な絵本を届けようと、洋画家や日本画家、漫画家、デザイナーなど、さまざまな分野の美術家に絵を依頼した。彼らは絵本という新たな舞台で自由な発想を試み、素材や技法、構図の工夫などを通して、今日の多彩な絵本表現の基礎を築いてきた。
同展は2章で構成。「遊び、実験、工夫、いろいろ」と題した第1章では、印刷技法や素材の工夫、紙以外の素材に印刷された作品など、特徴のある原画を紹介。第2章「それぞれの手から」では、中谷千代子さん、太田大八さん、山本忠敬さん、林明子さんの4人の作家に焦点を当て、それぞれの画風と表現の魅力を掘り下げる。
原画を間近で見ることで、描き手の筆致や画材の質感、造形の工夫など、「印刷物では味わえない絵本の奥深さを感じられる」という。担当学芸員の清水友美さんは「これらの原画には、背景の構成や創意工夫、確かな技量がある。一流のプロフェッショナルたちが手がけているからこそ、長い年月を経ても多くの人に愛され続けているのだと思う」と話す。
会場には、絵本のキャラクターと写真撮影ができるフォトスポットや、原画が絵本として読める「えほんコーナー」も設ける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は一般1,250円。12月21日まで。