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宇都宮の就農農家が「新里ねぎ」初出荷 自動車メーカーの研究職から転身

(右から)収穫したてのサツマイモを持つ尚紀さんと妻の結実枝(ゆみえ)さん

(右から)収穫したてのサツマイモを持つ尚紀さんと妻の結実枝(ゆみえ)さん

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 くしたに農園(宇都宮市新里町)の櫛谷尚紀さんが12月1日、就農後初となる「新里(にっさと)ねぎ」50キロを出荷し、手応えのあるスタートを切った。

曲がりが特徴の「新里ねぎ」

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 櫛谷さんは自動車メーカー研究職として20年間、燃料電池に関わる生産技術を担当してきた。「ものづくりの達成感はあったが、ユーザーの反応を直接見たい」という思いが芽生え、生活や働き方を考え直す転機になったという。

 2020年、家庭菜園を始めたことをきっかけに市民農園で栽培。2022年には栃木県農業大学校の就農準備校「とちぎ農業未来塾」で学び、2023年に農家の元で研修を開始。2025年、農業経営者として歩みを始めた。

 今回初出荷した「新里ねぎ」は、日本の地理的表示(GI)保護制度に登録されている特産品。栽培途中で意図的に曲げる独特の生育方法が特徴で、地域の知的財産として保護される産品の一つ。

 京都府出身の櫛谷さんは、音楽家の妻と2人暮らし。栃木には縁がなかったものの、社会人になってから20年間暮らす中で土地に愛着が生まれ、「この地域で根を張りたい」と就農先に宇都宮を選んだという。

 櫛谷さんは「新里ねぎが初めての収穫だったが、無事に出荷できて安心している。自然の中で働き、規則正しい生活を送れることがうれしい」と振り返る。農園面積は2ヘクタールを目指す。「規模を追い求めるより、収益性のあるモデルを作りたい。生産現場のそばにいて、自分で直接販売していくのが基本」と今後の方針を示す。

 新里ねぎ生産組合の麦島弘文組合長は「若い人が仲間に入ってくれることは励みになる。櫛谷さんは疑問をどんどん質問し、熱心に学んだことで立派なネギを作ってくれた。冬は鍋に最適なので、多くの人に味わってほしい」と期待を込める。

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